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もちろんIPv6最大のメリットは、その膨大な数のアドレスなのですが、インターネットが普及してから作られたルールということもあって、その他にもいろいろと便利に使えるような仕組みが考えられています。

ひとつ目がセキュリティ機能です。
 IPv4には「IPsec(アイピーセック)」というセキュリティ機能が用意されていました。ところが、その機能はオプション扱いであったため、ほとんど使用されず、一般的にはデータを送る側と受け取る側で、それぞれ別のセキュリティ機能(ファイヤーウォールやSSL)を準備しなくてはならなかったのです。しかしIPv6では、最初から「IPsec(アイピーセック)」が標準的に用意されています。
 IPv6に用意されたセキュリティ機能は、指定された相手以外は送ったデータの中身を見ることができないようにした仕組みです。IPv4では、何も対策をしていない場合、送ったデータを第三者が横取りして中身を見られてしまう恐れがありました。ですから、パスワードなど見られては困るものを送るときは、 SSLなど別な暗号化のシステムを使わなくてはいけなかったのです。ですが、IPv6では送られるデータそのものに鍵をかけている状態なので、誰かに横取りされても、中身を見られてしまう可能性はかなり低くなったと言えます。

ふたつ目が、情報機器同士の通信です(ピアツーピア方式といいます)。
 IPv6では、インターネットにつながるすべてのコンピュータや端末、機器に対して、IPアドレスが割り当てられます。つまり、誰かからあなたのパソコンだけに直接データを送ることが可能になるのです。
 今まで、友人に大きなサイズのファイルを送る場合、ファイル保管サービスなどを利用しなければなりませんでした。しかしIPv6環境になると、直接友人のパソコンに簡単にファイルを送ることができるようになります。

3つ目が、インターネットへの接続が簡単になることです。
 これからどんどん「ネット家電」が増えてきます。現在でも、DVDレコーダーやゲーム機など、インターネットに接続できる機器はいくつかありますが、IPアドレスの設定でつまずいた経験のある方も多いでしょう。
 IPv6では、そうした機器を回線に接続するだけで、利用可能なIPアドレスを自動で設定する仕組みが用意されています。

4つ目がマルチキャスト方式による情報配信です。
 IPv6のマルチキャスト機能を使うと、映像などの配信が格段に便利になります。
 IPv4の環境では、1対1の通信(ユニキャスト)での利用が中心でした。例えば同じデータを100人が見る場合、サーバは同じものを100人に向けて……つまり、同じものを100回送信する必要があったのです。ですから、画質の低い(=データ量の少ない)Webカメラなどの映像でも、大人数が同時に視聴するとスムーズな送受信ができなくなるのは、そのためです。
 IPv6環境では、マルチキャストがサポートされています。マルチキャストというのは、同じデータを同時に複数の人に送信するための機能です。マルチキャストの場合、サーバがデータを送信するのは1回だけ。通常、データはサーバからあなたのパソコンにデータが届くまで、いくつものルータを経由することになりますが、そのルータがデータをコピーして、複数の視聴者に配信する仕組みになっています。これによりサーバの負担が減り、画質のよい(=データ量の多い)映像でも、スムーズな配信が可能になるというわけです。
 マルチキャストの技術を用いて、例えば予備校のオンライン授業を同時に複数の学校に配信するとか、マンションの各世帯のインターホンに一斉に災害情報を配信するといった活用事例が出てきています。
 

 
みんながIPv6を使用するようになると、今よりもっと便利で安全なインターネットが実現できます。
 
 
  IPv4 IPv6
IPアドレスの数 2の32乗(少ない)
約43億
2の128乗(多い)
43億の4乗
セキュリティ機能 標準では用意なし
別途対策が必要
標準で用意されている
IPアドレスの設定 手動で設定 自動で設定
NAT IP 不足解消のため
よく使われている
原則的には
必要なし
ピアツーピア通信 ピアツーピアを行うための
専用のソフトが必須
汎用ソフトにピアツーピア
機能が組み込まれていく
 
 
コラム〜セキュリティ対策について
ここでセキュリティ対策について、お話しておきましょう。
インターネットでの危険といえばコンピュータウィルスが真っ先に思いつきますが、インターネットでは自分が送ったデータが誰かに見られたり、改ざんされたりする危険性も潜んでいます。
これらの「盗聴」や「改ざん」はコンピュータウィルスではないので、ウィルス対策ソフトでは防ぐことができないのが一般的です。
従って、IPv4の環境で重要なデータを送る場合には、SSLなどの特別な暗号化の仕組みが必要でした。逆にいうと、IPv4の環境では、SSLなどで保護されていないデータは、いつどこで誰に見られてもおかしくない状況なのです!
そこでIPv6では、データの中身が受信者以外に見られないようにする仕組みが用意されました。これで安全性は飛躍的に高くなったと言っていいでしょう。
ただし、フィッシングサイトのように、あたかも自分が正しい受信者であるかのように装っている場合は、いくらIPv6にセキュリティ機能があるからといっても、防ぎきれません。
 
 
 
16進法【じゅうろくしんほう】
  日常使っている数字は10進法に対して、一桁が16個の数字で構成された表記法。0〜9に加えA〜Fまでを使う。16進法のEは10進法の15、16進法の1Aは10進法の27、16進法の100は10進法の256になる。
 
   
SSL【えす・えす・える】
  Secure Socket Layerの略。暗号化の技術で、パスワードなど個人情報を送信する際によく使われる。
パスワードを入力する場合、SSLを使用するか、SSLを使用しないかの選択ができる場合もあるが、SSLを使用しない場合は、暗号化はされないので、誰かにパスワードを盗まれる危険性が高くなる。
   
IPsec【あいぴー・せっく】
  IPはInternet Protocol、secはSecurityの略。送受信されるデータを暗号化する。
データが暗号化されるので、受信者以外がそのデータの中身を見ることができなくなる。もちろん、途中でデータを改ざんすることもできない。
   
ピアツーピア【ぴあ・つー・ぴあ】
  Peer to Peer。P2Pと略されることもある。
メールなどは、データをやりとりする際に送信者と受信者の間に仲介をするコンピュータが存在する(メールサーバなど)。このシステムをクライアント・サーバ型と呼ぶ。
それに対してピアツーピアは、直接送信者と受信者を接続して、通信をするシステムのことを言う。
   
フィッシングサイト【ふぃっしんぐ・さいと】
  有名な会社やサイトを装って、ユーザーに情報を入力させて、データを盗むことを目的としたWebサイト。IDやパスワード、クレジットカードの番号、銀行の口座番号などが対象になるケースが多い。
IDとパスワードが盗まれれば、誰かがあなたに成りすますこともできる。銀行のオンラインバンキングサービスのIDとパスワードが盗まれれば、あなたの銀行口座から勝手にお金を引き出すことも可能であるし、また、クレジットカードの番号と有効期限が盗まれれば、勝手に買い物をされてしまうこともある。
基本的な対策としては、そのサイトが本物かどうかをよく確認すること。「アカウントの有効期限が近付いています」や「新規サービスへの移行のため、登録内容の再入力をお願いします」といった内容のメール等で、フィッシングサイトへのアクセスを誘うケースが多いが、それを鵜呑みにせずに、問合せ窓口に電話するなどして自分でも確認した方がよい。
   
   
 
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