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ISP事業者のみなさまへ

電気通信事故報告様式の改正について

総務省 総合通信基盤局
電気通信事業部 電気通信技術システム課
(安全・信頼性対策室)

情報通信審議会情報通信技術分科会IPネットワーク設備委員会では、IP電話端末が具備すべき機能や認証のあり方、事故と判断すべき品質の低下の考え方等について昨年2月から検討を行い、その結果について昨年7月28日に情報通信審議会から一部答申が行われました。本稿ではこの一部答申を踏まえて、本年4月1日に公布・施行された電気通信事故報告様式について制度改正の概要を説明します。

1 電気通信事故報告様式の改正の概要

1.1 法令上の規定及び改正目的

電気通信分野における「事故」のうち法令で総務大臣への報告対象として規定されているものには、電気通信事業法施行規則(以下「施行規則」という。)第58条に定める「重大な事故」、及び電気通信事業報告規則(以下「報告規則」という。)第7条の3に定めるいわゆる「四半期報告」があります。
今回改正した省令及び関係告示において、これらの事故の発生を総務省に報告する際に使用する3種類の様式の変更及び報告不要の軽微な事故に関する定義の追加を行いました。改正の主な目的は、事故情報の効率的な収集、記載内容の明確化、報告に要する負担の軽減等です。なお、事故の定義については、JAIPA Express Vol.24で紹介している内容から変更はありません。

1.2 「重大な事故」の様式について

「重大な事故」の様式は、施行規則様式第50の3(以下「重大な事故報告様式」という。)に定められています。重大な事故報告様式については、上記審議会において、「詳報については、様式は示されているものの、項目名だけしか記載されておらす、報告を提出する事業者にとって、具体的に何を記載すればよいか明確になっていないため、事業者の報告事項に関する予見性を高め報告内容が適切かつ整合性のとれたものとなるよう、再発防止及び利用者保護の観点も含め、具体的な記載内容について、記載項目を見直す他、各項目に記載すべき内容を注釈等で示し、記載方法の透明化・明確化を図る必要がある。」 との提言を受けたことを踏まえ、以下のように変更しました。
(1)様式の注に記載項目についての説明を追加
(2)新たに「再発防止策」及び「利用者対応状況」を追加

1.3 「四半期報告」の様式について

「四半期報告」の様式は、事故の種類に応じて報告規則様式第27(以下「四半期詳細様式」という。)及び平成22年総務省告示第136号(総務大臣が別に告示する事故、様式及び軽微な事故を定める件)に定める様式(以下「四半期簡易様式」という。)の2種類の様式になります。詳細様式については、上記審議会において、「詳細様式については、項目しか定められておらす、内容が自由記述であり事業者によって記載内容や趣旨も異なるため、統計処理が難しく、加えて同様式は事故の影響規模等の記載を求めていないため、事故の発生状況について十分に分析を行えないことが明らかになってきたことから、これらの課題を解決するため、詳細様式について次のように改善を図ることが必要である。
●集計の効率化等に資するため、原則として電子ファイル(表計算ソフト等の形式)による報告を基本とする。
●記載内容の統一化、明確化を図るため、自由記述式ではなく、原則として選択式(チェックボックス式等)での報告様式とする。
●事故の発生状況を分析するために必要な事項を、報告内容に追加する。」
との提言を受けたことを踏まえ以下のように変更しました。
(1)四半期詳細様式において、記載内容を原則選択式とし、いくつかの項目について様式の注に選択肢を記載
(2)四半期詳細様式及び四半期簡易様式について、事故分析及び事業者負担軽減等の観点から報告対象の事故の見直し
(3)総務省ウェブサイトに四半期詳細様式及び四半期簡易様式のダウンロード用フォーマット(エクセルファイル)を掲載

1.4 報告不要の軽微な事故について

報告不要の軽微な事故は報告規則第7条の3に定められています。以前の報告規則では、当該事故が定義されていませんでしたが、上記審議会において、「現在、指定されている事故がないため、極めて短時間、かつ極めて少人数の事故であり、重大な事故に発展するおそれがほとんどないものまで対象となっていることから、~(中略)~、事業者の負担を軽減するためにも、報告を不要とする事故を新たに定めることについて検討することが必要である。」との提言を受けたことを踏まえ、事業者の負担及び重大な事故への発展の可能性を考慮し、新たに以下の設備の事故について、報告不要としました。
(1)利用者の建築物又はこれに類するところに設置する事業用電気通信設備の故障により発生した事故であって、その影響の範囲が同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内に限られるもの
(2)端末系伝送路設備(利用者の電気通信設備と接続される一端が無線により構成されるものを除く。)の故障により発生した事故であって、当該故障の箇所が架空線路の区間であるもの
具体的には(1)は、利用者宅内に設置してあるターミナルアダプタ等の機器を指し、(2)は主に加入者系事業者のアクセス回線部分等を指します。

2 様式の記載方法及び提出方法について

2.1 様式の記載方法

上記の3様式のうち、ISPが提出するのは主に四半期詳細様式になりますので、重大な事故報告様式及び四半期簡易様式については説明を割愛します。四半期詳細様式は、省令に定める様式とダウンロード用の様式(下図)
accident_repo.gif
でレイアウト等が若干異なりますが、本稿では実際の提出に即して後者の様式を説明します。またこの様式は、選択項目等を随時追加する可能性がありますので、四半期毎にダウンロードしていただききますようご協力ください。以下、各項目について説明します。
○発生年月日及び復旧年月日
図のように、「yyyy/mm/dd 00:00」という形式で記載して下さい。
○影響地域
事故によって影響を及ぼした範囲を選択して下さい。
○影響利用者数
事故によって影響を与えた利用者数の範囲を選択して下さい。一の事故によって複数の電気通信役務が停止した場合は、それらの役務の中で最も利用者が多かった役務の人数とします。他事業者の設備の事故により影響を受けた場合は、可能な限り影響利用者数の把握をお願いしていますが、やむを得ない場合は「不明」を選択して下さい。
○主な発生原因
自社設備の経年劣化等の故障は「自然故障」、他事業者のアクセス回線、他事業者の網内での故障等の場合は、その役務提供の形態に応じて「他の電気通信事業者の事故による要因(卸)」、「...(略)...(相互接続)」又は「...(略)...(その他)」を選択して下さい。また、悪意のある第3者からのDoS攻撃等が原因の場合は「異常トラヒック」を選択して下さい。
○故障設備
自社設備の故障の場合は、その設備の種類に応じて「伝送交換設備(L3SW・ルータ)」、「伝送交換設備(網終端装置)」等から選択して下さい。また、他事業者の設備の故障による事故であり、故障した設備を把握できない場合は「不明」を選択して下さい。
○措置模様
措置模様の欄は、事故を復旧させるために行った措置の種類を「再起動」、「ソフトウェア修正(設定変更)」等から選択して下さい。他事業者の設備の故障であり、他事業者の措置により役務の提供を再開した場合は「他事業者にて対応」を選択して下さい。
○影響を与えた電気通信役務
影響を与えた電気通信役務の欄は、事業開始届出時等に総務省に提出する施行規則様式第4の電気通信役務の種類に対応しています。一の役務にのみ影響があった場合は、その役務の欄に「●」を付けます。複数の役務に影響を与えた場合は、それら全ての欄にチェックを付けます。その場合、影響利用者数の欄と対応させるため、

響利用者数の最も多い役務には「★」、その他の役務には「●」を付けます。

2.2 様式の提出方法

上記の3様式は全て下記URLからダウンロードできます。重大な事故報告様式は事故発生から30日以内(速やかな報告は別途必要になります。)、四半期の2様式は4月~6月までを年度の第1四半期とし、期間内に該当する事故が発生した場合、四半期終了後2ヶ月以内(例:第1四半期は8月末まで)に提出することとなっています。
また、提出媒体についてはデータ集計の都合上、ウェブサイトで配布している様式を使用し、電子メールに添付して以下の提出先に送信していただきますようお願いします。

業務区域
各総合通信局管内を超える各総合通信局等管内
重大な事故 本省電気通信技術システム課 各総合通信局等
四半期報告 本省:4hanki_atmark_ml.soumu.go.jp

(注)スパムメール防止のため、「@」を「_atmark_」と表示しております。送信の際には、「_atmark_」を「@」に置き換えて下さい。

おわりに

総務省では、引き続きネットワークの安全・信頼性を確保するために、報告を受けた電気通信事故の情報を分析し、必要な検討、統計情報の公開、関連施策の実施等、利用者が安心して電気通信サービスを利用できる環境の整備に努めていきたいと考えております。

以上