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インターネットの商用利用開始時点から、無差別に勝手に送りつけてくるコマーシャルメール(以下「迷惑メール」という。)の配信が始まりました。商品やサイトの案内から、ネズミ講まがいの宣伝までさまざまなものがあります。
初期の頃、これら迷惑メール送信者はことごとく非難されました。非難を受けたにもかかわらず送信を続けるものは、契約プロバイダーから警告を受けたり、ひどい場合には利用を解除されたりしました。
そこでこれらの送信者は、自分の正体を隠すために工夫を凝らしました。それがメールサーバの 不正中継と呼ばれるものです。古き良き時代では、メールサーバはバケツリレー方式にメールを中継してあげることをよしとしていましたが、それが悪用されるようになったのです。いくつものメールサーバを中継して迷惑メールを送信し、自分の正体をわかりにくくした上に、大量送信に使う資源も他人のものを使うという悪質な手口に変わっていきました。これに対応するために、メール送信サーバ用ソフトとして、もっともよく使われているsendmailはバージョン9.系列から中継できない設定をデフォルトとして採用しました。もちろん設定によっては中継をするようにすることも可能です。また中継可能なところを特定することもできます。現在は、このような不正中継を許可するサーバは少なくなりましたが皆無ではありません。今も、このような不正中継可能なサーバを経由して送信されてくる迷惑メールはたくさんありますが、徐々に少なくなりつつあります。
携帯電話がインターネットに接続できるようになって状況が一変しました。携帯電話は、いわゆるメールのヘッダという部分が参照できないために、Fromアドレスを詐称すれば、だれから送られてきたメールかわからなくなります。このため送信者が、特に不正中継サーバなどを使わなくても、携帯宛ならば簡単に迷惑メールを送ることができるような環境ができてしまいました。また、携帯は当初電話番号をそのアドレスとしたままの人も多く、自動的にメールアドレスを生成するツールなどもたくさん開発され、迷惑メールの助長につながりました。
プロバイダー側では、このような迷惑メール送信者が自社のメール送信サーバを使うことで、サービスに支障が出る場合が多く、迷惑メール送信者を契約解除したり、警告を発したりするとともに、設備の増強などを図り対応してきました。迷惑メール送信者も、次々とプロバイダーを乗り換えるなどの手段をとって、送信を続けましたが、これはなかなか面倒なものです。
しかしながらその面倒さを解除できるような環境が育ちました。xDSLや光接続などのブロードバンド常時接続環境が、一般個人でも安価に手にはいるようになったのです。自宅から早い回線を使い、自宅のメール送信サーバから大量にメールを送信するという手法が一般的になってきました。不正中継サーバを使うとか、プロバイダーを乗り換えて契約解除とのいたちごっこをするとかの面倒なことをしないでも、大量に迷惑メールを起こることができるようになったのです。また、大量メール送信システムの安価な販売もあり、初心者が、迷惑行為とも知らず商行為という認識で迷惑メールを起こるといった事例も出てきました。プロバイダーでは、自社のユーザーが大量にメールを送信していても、それを把握することは困難です。受信者からの訴えがあった場合でも、それを理由に契約解除などの措置を執ることは不可能であるかもしれません。
携帯事業者は、ドメイン指定拒否、アドレスをわかりにくくする啓蒙措置などを行い、携帯への迷惑メールが送信しにくくなるような措置を執りました。これは正当な事業者の、許諾をとったメール送信に対しても悪影響を与えるなどの、別問題を発生させましたが、携帯宛の迷惑メールは届きにくくなりました。
携帯宛に迷惑メールを送っていた業者は、矛先を変えてインターネット上のアドレスを収集し、また迷惑行為を繰り返すようになりました。インターネット上のメールアドレスは安価に取り引きされるようになっていますが、その有効数はかなり低いもので、大量の宛先不明のエラーメールを覚悟しなくてはなりません。
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